前回に引き続き、気になる『コロナ太り』について、考えて行きたいと思います。
今回と次回は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所・ヒューマンモビリティ研究センター
研究員 安藤貴史先生にお話を伺います。
安藤先生のご専門は、スポーツ科学と栄養学で、ダイエット研究やみなさまもよくご存知の
某ゲーム機や活動量計の開発など多くの研究に携わり、私たちが快適に暮らせる仕組みづくりに
力を注いでいらっしゃいます。
それでは早速、気になる『コロナ太り』について伺ってみましょう!
伊藤:コロナ禍での生活スタイルの変化とともに、運動量の
低下による肥満やメタボリックシンドロームなど様々
な疾患リスクの増加を気にされている方も多いと思い
ます。なぜ運動量の低下は疾患リスクになりやすいの
でしょうか。
安藤:その一つの理由は、運動量(専門的には身体活動量)が
高い状態で生体機能等の均衡が保たれていたものが、
運動不足により崩れてしまうからです。またそれ以外
にも、そもそも私たちの身体の仕組みとして、高い運
動量が必要な場合もあります。
肥満に着目すると、生活スタイルの急激な変化に身体
が付いていけないことが問題となります。
例えば、人の食欲は、運動量の増加には敏感に反応して増しますが、
運動量の低下には食欲低下のような反応は短期的にはほとんど起こりません。
スポーツをしていた方が、やめた後にも食事量は変わらず体重が増えてしまうのがその代表例です。
伊藤:体重を増やさないためには、食事量のコントロールがポイントになるのでしょうか?
安藤:その通りです。生活スタイルの急激な変化で最も重要なことは、食事量のコント
ロールです(詳細は次号)。食事以外にも、循環器疾患や糖尿病などの疾患リスク、
将来の寝たきりのリスクを下げるためには、食事摂取量を下げるだけでなく、ある
一定以上の強度を伴う運動が必要と考えられています。まずは、ご自宅での簡単な
エクササイズや散歩でもいいですので、少し息が弾むようなペースで、まず
は連続10分を目標におこなうといいでしょう。特に階段上りは心肺機能
や脚の筋力や柔軟性の維持にはおすすめです。
伊藤:運動時間についてはどうでしょうか?
安藤:私の研究では、1日あたり同じ時間運動する場合は、長時間連続的に運動する
よりも、30分に1度、数分くらいずつ短時間で細切れに運動する
方が、たくさんの脂肪を燃焼することが明らかになっています。
伊藤:続けて運動することにこだわらず、短時間・細切れだとしても、少しずつ実践する
のが良いのですね!
安藤先生、ありがとうございました!
次号は食事について、教えていただきます。みなさま、楽しみにお待ちくださいね^^